しかし、認知症などによって判断能力が低下した場合、自身の銀行口座が凍結される場合があります。
周囲の人はたとえ親族であってもあなたの口座にアクセスできず、貯金が引き出せない、ということが起こりえます。また、公的年金の受け取りには本人名義の口座が必要なので、凍結されてしまうと年金もあてにできません。
この場合、成年後見制度を利用すれば引き出せるのですが、法定後見にしろ任意後見にしろ、後見人や監督人の報酬が年50万円程度発生するため、我々貧乏人にとっては使い勝手の悪い制度で、あまり普及していません。
予約型代理人制度
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まだ判断能力が正常な時期に「私Xにもしものことがあったら後は代理人AとBに頼む」とX自ら銀行に届け出ておく。
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判断能力が損なわれた場合は、AかBがXの診断書を持って銀行に行く。
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銀行が代理人による取引を認める。
予約型代理人制度を導入している銀行
2023.03.05(日) 時点でざっと調べた感じでは、予約型代理人制度を導入している銀行は次の通りです。
三菱UFJ銀行「予約型代理人サービス」
https://www.mufg.jp/dam/pressrelease/2021/pdf/news-20210308-001_ja.pdf
代理人は原則2親等以内の親族、パートナーも可。
2023.03.10追記: 同時点では、法定婚でないパートナーを指定する場合、パートナーシップ宣誓証明書が必要(証明書を発行していない自治体に居住の場合は利用できない)
三井住友銀行「代理人指名手続」
https://www.smbc.co.jp/kojin/otetsuduki/sonota/dairi/
代理人は2親等以内の親族のみ
みずほ銀行「代理人予約サービス」
https://www.mizuhobank.co.jp/retail/tetsuduki/dairinin_yoyaku/index.html
代理人は原則2親等以内の親族
イオン銀行「代理人手続きの届出」
https://www.aeonbank.co.jp/procedure/others/agent/
代理人は原則2親等以内の親族、パートナーも可。
信用金庫
2023/05/12(土) 追記
信用金庫は営業範囲は狭いですが、もしもの際に融通を利かせてくれる傾向があります。お近くに予約型代理人に対応している金庫があれば是非利用をご検討ください。
- 城南信用金庫(東京)
- 浜松いわた信用金庫(静岡)
- 京都中央信用金庫(京都)
- 京都信用金庫(京都)
- 玉島信用金庫(岡山)
など
なお、上記は執筆時点での情報であり、いずれは他の銀行も追随するものと考えられます。
注意点としては、この設定は認知症になってしまってからではできない、ということです。
判断力が正常な間に行っておくことをおすすめします。
P.S どこの金融機関がいいか
この中にあなたのメインバンクがあるなら、当然その銀行を選べばいいわけですが、メインバンクが別にあって変更するつもりがないなら、三井住友銀行のOliveアカウントがおすすめです。理由は、自動振込が無料だからです。
年金受取日の翌日に、メインバンク宛てに自動振込を設定しておけば、毎月窓口やATMに行ってお金を下ろし、メインバンクに行ってまたお金を預け…といった作業から解放されます。
口座開設も自動振込の設定もネットで完結するため、三井住友銀行の窓口に行かなければならないのは「代理人指名手続」を行う1回だけです。
ただし、デメリットが無いわけではありません。
メインバンクに「年金受け取りで利息アップ」といった特典がある場合、特典は利用できなくなってしまいます。
また、Oliveアカウントは三井住友カードのクレジットカードがセットになっているので、同社のカードを所有しておらず、セットのカードも使わない場合は与信枠が取られてしまい、ローン等に影響する可能性があります。
利便性とデメリットを考えた上でお申し込みください。