前回の記事のとおり、自身の判断能力が損なわれた場合、その銀行口座が凍結されることがあります。
こうなると、基本的に自分の親族であってもお金を引き出すことができず、「自分が介護を受けるためのお金を、自分の口座から引き出せなく」なります。
この問題を成年後見制度を使わずに解決できるのが、予約型代理人制度です。判断能力がある時点で所定の手続きをしておく必要があります。
今回は、予約型代理人制度を導入している銀行の一つであるイオン銀行で手続きをしてきたのでその記録です。
1. イオン銀行の窓口を予約する
手続きは店頭でしかできませんが、頻繁に行われる手続きではないようなので、いきなり行くと行員の方が手続きを把握していない可能性があります。事前予約が確実です。
イオン銀行窓口はイオンモール店舗の中にありますが、銀行窓口があるイオンモールは限られています。予約サイトから窓口のある店舗を選択し、用件で「代理人届」を選んで予約しましょう。
2. 本人と代理人で窓口に行く
口座名義人本人の来店が必要です。代理人も同席が必要ですが、代理人はWebミーティングで同席することもできます。
代理人に指定する人数に制限はないそうです。
配偶者は自分と同じように老いていきますので、子供も指定しておくと確実ですね。
持ち物は、口座名義人のキャッシュカード、口座名義人の写真付き身分証、代理人の写真付き身分証、本人と代理人の関係が分かる書類の4点です。
代理人は、原則2親等以内の親族ですが、事実婚や同性パートナーの場合も関係を示せれば認められます。
同居している場合は住民票の写し、別居の場合は戸籍謄本等を提示します。
法定婚でない場合は、パートナーシップ制度がある自治体ではパートナーシップ宣誓書、ない場合は婚姻と同等の関係を確認する公正証書等を提示すれば認められます。
3. 制度について説明を受け、届出書を作成
行員の方から、代理人が行える取引の説明があります。
その後、口座名義人と代理人で届出書を作成します。
代理人が取引できるようになる条件として、「即時」と「予約型(判断能力喪失の診断書が発行された時点)」が選べます。
現状生活に問題はないが、将来に備えて代理人を設定するなら、予約型がよいでしょう。判断能力はあるが、足などの衰えによって代理人に銀行に行ってほしいなら即時がよいでしょう。
4. もしものための準備
口座番号を代理人に教えておきましょう。診断書によって代理人による取引が開始すれば暗証番号はリセットできるので、暗証番号を教える必要はありません。
マイナポータルの公金受取口座にしておけば、年金請求書類への口座番号記載や通帳のコピー提出の必要がなくなります。
なお、イオン銀行の投信口座の残高を代理人が解約することができますが、2024年に証券業務がマネックス証券に移管されたあともこの条件が継続するかは現時点では分からないそうです。